製品ソリューション
自動車の未来を支える貴金属
意外と知られていない自動車における貴金属の役割についてご紹介いたします。
自動車を取り巻く環境
鉄、アルミ、銅など多くの金属が構成部品として使用される自動車ですが、貴金属も含まれているのをご存知ですか?意外と知られていない自動車における貴金属の役割についてご紹介いたします。
日本が誇る工業製品である自動車。その普及によって私たちは生活の向上を果たした一方、エネルギーの枯渇や温暖化、環境汚染、安全性などの問題を生むことになりました。なかでも燃費向上や排気ガスのクリーン化など地球環境保全への取り組みは著しく、1960年代にアメリカで自動車排気ガス規制がスタートして以降、厳しさを増す規制を自動車業界は都度、高い技術でクリアしてきました。2014年9月よりEU諸国で「EURO 6」が施行され、粒子状物質(PM)と窒素酸化物(NOx)の排出量がより厳しく規制されるなど、自動車にはさらなる技術革新が必要になっています。この流れは先進国だけに留まらず、自動車発展途上国である中国やタイ、ブラジル、その他の地域に対しても広がってきています。
電気自動車、燃料電池自動車など次世代自動車の一般販売もスタートし、私たちを取り巻く自動車環境は大きな変革期を迎えています。2010年に全世界で8,000万台が生産された自動車は、2050年までには年間2億台超まで増加し、ハイブリッドを含めたレシプロエンジン搭載車も2040年の生産台数は年間1.3億台まで推移することが予想されています。拡大する自動車マーケットにおける関連ビジネスも2040年までに2010年比で40%増が見込まれています。
Energy Technology Perspectives: Mitigation Potential in Transport, Presentation COP 20 side-event, 4th December, Lima, Peru,;
http://www.iea.org/media/workshops/2014/cop20/PHILIBERT_GAGNE_Transport_day_Lima.pdf; IEA Publishing.
Licence: http://www.iea.org/t&c/termsandconditions/
自動車に欠かせない貴金属の役割
世界中でますます拡大を続ける自動車市場において、省資源、排気ガス対応、安全・快適性の向上など、自動車に求められる要件はより厳しさを増してきています。
近年では直噴エンジン、ダウンサイジング過給エンジン、クリーンディーゼルエンジン、ハイブリッドなどパワーユニットも多様化するなかで、燃費・出力性能のさらなる向上、過酷な環境下においても常に性能を維持し続けられる耐久・信頼性、排気ガスに含まれる環境汚染物質を減少させ無害化する環境性能などが求められています。これらの幅広い要件を満たすため、貴金属が自動車用部品として使用されています。
エンジンユニット
自動車用部品として貴金属が最も活躍するのが自動車の心臓部であるエンジンユニットです。燃料をエンジンへ供給する燃料ポンプユニットや、燃料の残量を計測するためのセンサや噴射装置、エンジンの燃焼室内で混合気を燃焼させるための点火プラグのほか、排気ガスに含まれる環境汚染物質である炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)をそのまま放出しないようする排気ガスセンサや酸素センサ、エンジンを最適な状態で制御するエンジンコントロールユニット(ECU)、またECUが機能するために必要なさまざまな情報を検知・計測する数多くのセンサに貴金属が採用されています。
※各部品名をクリックすると詳細をご覧いただけます。
スイッチ
パワーウインドウやエアコンなど、便利な装備に用いられる各種スイッチのオンオフや多段階スイッチ位置の検出、電気を流すためのリレー(継電器)などは、-30℃~90℃にわたる車室温の高低差などにも耐えられる信頼性の高い貴金属が利用され、またその数も増加しています。貴金属を用いた電気接点は、導電性、耐久性、信頼性などに優れ、微小電流から幅広い負荷に対応しています。
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その他部品
貴金属を使用した自動車部品は多岐にわたっています。
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<主な使用部品>
リサイクル
上記でご紹介したとおり自動車の各所に貴金属が使われており、役目を終えた自動車はリサイクルすることで貴重な資源となります。天然の鉱石1トン中のプラチナ含有量は3~7gですが、これは指輪1個分に相当し、排出ガス浄化装置で使われる触媒をはじめ自動車全体では約4台分に相当します。【回収・精製、使用済み触媒リサイクル】
田中貴金属が自動車分野で担うべき使命
自動車のIT化、電装化が進む中、自動車部品の原材料として貴金属は今後も大きな役割を果たしていくでしょう。そして、さらなる環境対応が求められ、ますます普及台数が伸び続ける事でより多くの貴金属が必要になります。こうした自動車を取り巻く状況において自動車の製造を止めないためには、貴金属の安定供給とコストカットが重要な課題です。
私たち田中貴金属は、今後も地金の調達から材料の加工・供給、リサイクルまでの資源循環をトータルで実現するしくみを提供していきます。また、貴金属が必要な部分にピンポイントに作用する「少貴金属化」で貴金属使用量を削減することにより、優れたコストパフォーマンスを提供できるよう、日々研究を重ねます。そして、貴金属の特性を最大限生かした新しい製品や高い技術力によって、自動車の未来に貢献したいと考えています。
*参考文献&データ
- International Energy Agency http://www.iea.org
- 一般社団法人日本自動車工業会ホームページ http://www.jama.or.jp
- 社団法人自動車技術会 自動車用語和英辞典
- 三栄書房 自動車情報辞典 大車林