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科学者らが偶然とらえた、金属が自ら「治癒」する瞬間

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これまで信じられてきたこととは異なり、銅やプラチナなどの金属は「自己修復」ができる。Top Image Credit: Dan Thompson / Sandia National Labs

金属が「自己修復」することは知られていない。金属は、一度損傷したら外から力を加えて修復しない限りそのままだと考えられている。だが、金属特性に関する新たな研究で、必ずしもそうではないことが示された。一部の金属は、実際には、自らを「自然に」修復するようなのだ。これは、いつか、地球上だけでなく宇宙関連の工学設計をも変える可能性のある発見だ。

『ネイチャー』誌に2023年7月19日付けで掲載された研究によると、ニューメキシコ州アルバカーキにあるサンディア国立研究所と、テキサスA&M大学の材料科学者たちが、少なくとも一部の金属(この研究では銅とプラチナ)は、「本来備わっている自己修復能力」を発揮できることを発見したという。『Live Science』が最近報じたように、この研究結果は、前述した2つの金属をナノスケールで観察しているときに、まったくの偶然で得られたものだ。

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その発見が行われたのは、プラチナと銅の極小の試験片で、応力回復特性をテストしているときだった。実験は、金属に高速かつ微小な力を毎秒200回の速度で加え、これを透過型電子顕微鏡で観察するというものだった。加えられた力は、蚊の脚が歩いたときと同程度のものだったが、それでも時間の経過とともに金属には小さな亀裂が生じた。

こうした出来事は、現実世界でも日常的に起こっている。サンディア国立研究所の材料科学者ブラッド・ボイスはプレスリリースで、「電子機器におけるはんだ接合部から車のエンジン、車が走る橋に至るまで、こうした構造物では繰り返し負荷に起因する予期せぬ不具合が頻繁に起こっています。これによって微小な疲労亀裂が発生し、最終的に破断するのです」と述べている。「不具合が生じた場合、機器の交換費用や時間損失、場合によっては怪我や人命の損失への対応を迫られることになります」

しかし今回の研究では、テスト開始から40分以内に、プラチナと銅の試験片は両方とも、亀裂がなかったかのように自然に修復された。

「金属の亀裂は大きくなることはあっても、小さくなることはないと考えられてきました。亀裂成長を記述する基本理論式においても、自己修復プロセスの可能性は排除されてきました」と、ボイスはリリースで述べている。

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こうした金属の自己修復能力は、多くの研究者にとっては驚きだったが、実際にはマイケル・デムコビックが2013年に最初に提唱した理論を裏付けるものだった。デムコビックは当時、マサチューセッツ工科大学(MIT)で材料科学・工学を研究する教授だった。彼はコンピューター・シミュレーションに基づいて金属材料に関する従来理論の修正を試み、特定の条件下では金属が応力誘起亀裂を修復できることを仮説として示した。このような驚くべき能力の鍵は、「冷間圧接(cold welding)」として知られる、特定の条件下で亀裂の2つの側面が互いに押し付けられるという仕組みにある。

調査してテストすべきことはまだ多く残っているが、その影響は広範囲に及ぶ可能性がある。地球上の建物から宇宙船まで、あらゆるものの設計・構築方法が変わる可能性があるのだ。今回の実験は真空中で行われたが、研究チームは金属の冷間圧接が通常の大気条件でも起こるのか確認したいと考えている。少なくとも今回の研究結果は、「条件さえ揃えば、材料は人が予想もしなかったことを行うことができる」ことを思い出させてくれる、素晴らしい発見だとデムコビックは考えている

この記事は、Popular ScienceのAndrew Paulが執筆し、Industry Diveの DiveMarketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。