CLOSE

About Elements

美しい未来のために、
社会を支えるテクノロジーを

TANAKAは、「社会価値」を生む「ものづくり」を世界へと届ける「貴⾦属」のスペシャリスト。
そして、「Elements」は、わたしたちのビジネスや価値観に沿った「テクノロジー」や「サステナビリティ」といった
情報を中⼼に提供しているWEBメディアです。
急速にパラダイムシフトが起きる現代において、よりよい「社会」そして豊かな「地球」の未来へと繋がるヒントを発信していきます。

Elements

美しい未来のために、
社会を支える技術情報発信メディア

検索ボタン 検索ボタン

リチウムはアメリカにとって次のゴールドラッシュとなるか?

この記事をシェアする

「21世紀のゴールドラッシュ」が到来した。電気自動車(EV)産業の台頭に伴い、新車のバッテリー製造に不可欠なリチウムの米国内の鉱床を発見し掌握しようという動きが過熱していると、『Vice News』は伝えている。米国西部一帯で、探鉱者たちは「可能なかぎり多く採掘権を主張」し、降って湧いた需要の爆発的増加から莫大な利益を得ることを期待している。なぜこんなことが起こっているのだろうか? 現時点では、米国内にこの銀白色の金属を産出する稼働中の鉱山はたった一つしかないからだ。

1849年、のちにフォーティーナイナーズと呼ばれる人々が、金を求めてカリフォルニアに殺到した。2023年に一攫千金を求める者たちも、同じくカリフォルニアの「リチウムバレー」を目指していると、CBSの『60 Minutes』は報じる。ある採掘企業幹部によれば、この地域はいずれ「年間750万台のEV製造を支えるだけのリチウムを産出」する可能性があるという。これは、米国における年間EV販売数の半分に匹敵する。テキサスも負けてはいない。テスラは2023年5月、同州でリチウム精製工場の操業を開始したと、『ロイター』は報じている。テスラのイーロン・マスクCEOは、EV産業の継続的成長はこうした取り組みにかかっていると述べ、リチウムの調達は、業界の発展を左右する「本質的なチョークポイント」であるとした。

背景には中国との競争がある。現在、世界のリチウム供給の67%は中国で精製されていると、『ニューヨーク・タイムズ』は報じる。米国では「地域および環境に関する懸念」のために、生産拡大の取り組みが遅れているため、追いつくのはずっと先になるかもしれない。環境保護団体のシエラクラブは、リチウム電池は「高い代償を伴うクリーンパワー」であると指摘している。リチウムはどんな未来を約束し、どんな危機を招き得るのだろうか。

識者の見解

リチウムは矛盾をはらむ。コロンビア大学気候学部のマルコ・テデスコはそう述べる。「自動車やその他の社会的側面の電化」は、気候変動の原因である炭素ベース燃料からの転換の必要に迫られてのものだが、「この転換は、私たちが考えるほど効率的なものではないかもしれない」と、同氏は指摘する。リチウムバッテリーの製造過程では、二酸化炭素排出が生じる──それは、EV革命が明確にその削減を目的として掲げているはずのものだ。さらに、「1トンのリチウムを精製するには50万リットルの水が必要」と言われるほど、リチウム精製には膨大な水が使用され、深刻な副次的汚染を引き起こすおそれがある。そのため、リチウム需要が急増するなかでも、代替資源の探索は続けるべきだ。「そうでなければ堂々巡りになってしまう」と、テデスコは言う。

一方、こうした懸念はおそらく杞憂だろうと、EV業界に詳しいブラッド・テンプルトンは『Forbes』に寄稿した記事のなかで主張している。リチウム需要の増加に伴い、「より効率よく、環境破壊を抑えて採掘するための業界努力」がなされるはずであり、とりわけ政策決定者が環境法を整備すれば、こうした動きは加速する。現時点でリチウムには困難がつきまとい、汚染源でもあるが、一世代分のEVを製造する必要があり、また大企業がそこから利益を得ようとしているなら、いずれ解決策が見つかるはずだ。「問題が重要で、大量の資金が注ぎ込まれているなら、物理的に可能であるかぎり、何らかの解決策は見つかるはずだ」と、テンプルトンは言う。

つまり、環境保護活動家たちは、たとえ気は進まなくとも1つの決断を下さなければならないと、ロンドン大学経済学部のダニエル・リトヴィンは主張する。「環境保護活動家は、エネルギー転換の実現のため、採掘企業との対話や提携を強化すべきだ」と同氏は言う。リチウム採掘企業と環境保護団体のあいだで「決定的な合意」を結び、採掘企業が汚染対策の厳しい基準を順守することを条件に、環境保護団体は「正真正銘の責任ある」プロジェクトに対して、迅速に操業を認める必要がある。「協働的マインドセット」こそが、「今後の世界的な気候変動対策の根幹となる」だろうと、リトヴィンは述べる。

今後の動向

リチウムをめぐる競争は、世界規模の現象だ。カナダは、北米自動車市場への資源供給地として名乗りをあげ、ボリビアの企業は同国の豊富な埋蔵リチウム資源を武器に、新興自動車メーカーとして飛躍をめざしている。一方、インドは先日リチウム資源開発計画を発表し、2023年後半に採掘権の競売を実施予定だ。こうした国々には勝機があるが、一方で出遅れている国もある。例えばインドネシアは、2025年にバッテリー生産工場を稼働させることを目標としているが、リチウム資源の不足により計画に狂いが生じている。

代替動力源の台頭も予想される。ナトリウムイオン電池は「数十年前から利用されてきた」が、リチウム技術が急速に普及した結果、脇へと追いやられた。だが、「現在このテクノロジーが再び脚光を浴びつつある」と、CNBCは報じる。同様に、『GreenBiz』によれば、現在のリチウムイオン電池よりも安価な代替技術として、一部の研究者はリチウム硫黄電池に可能性を見いだしているという。

米国のクリーンエネルギー転換の成否は、こうした多様な取り組みにかかっている、と『E&E News』は述べる。EV産業を支援するバイデン政権は、新車のバッテリーを大量生産するために「必要不可欠な資源を、米国が十分に調達できる」ことに賭けているのだ。

この記事は、The Week USのJoel Mathisが執筆し、Industry Dive Content Marketplaceを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comまでお願いいたします。