TANAKA Green Shield(ニッケルめっき加工による真空成膜装置部材の貴金属回収方法)

TANAKA Green Shield(ニッケルめっき加工による真空成膜装置部材の貴金属回収方法)

田中貴金属工業が確立した、真空成膜装置部材に付着した貴金属の新たな回収方法

本洗浄法は、半導体の製造工程などで使用される真空成膜装置(※1)部材の防着板(※2)に、ニッケルめっき加工を施すことが特長です。ニッケルめっき加工された防着板は、容易にプラチナやパラジウムなどのPGM(※3)スパッタ膜の剥離を行うことが可能となります。

(※1)真空成膜装置:スパッタリングや蒸着など、半導体の製造工程において薄膜成形のプロセスで用いる装置
(※2)防着板:成膜装置のチャンバー(物理的、化学的反応を起こさせるための密封した反応容器)の内壁への着膜を防止するために設置される板
(※3)PGM:貴金属のうちプラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウムの6種類 を指す

「TANAKA Green Shield」について

「TANAKA Green Shield」では、田中貴金属工業の独自技術である下地めっきのノウハウを活用しています。

防着板にニッケルめっき加工することで、基材を傷つけることなく、化学的処理でPGMスパッタ膜を剥離することが可能です。従来工程よりも容易にPGMスパッタ膜が剥離できるようになったため、装置洗浄時に使用する洗浄剤の使用量減少が期待でき、環境負荷低減に貢献できます。さらに、研磨時の飛散による貴金属の回収ロスも低減されることが見込まれるため、高いPGM回収率と低コスト化も期待できます。

田中貴金属工業では、「TANAKA Green Shield」について、2025年までに多種多様な形状・サイズの部材に対応可能な体制を整え、PGM膜の剥離回収量を現状の6倍に拡大することを目指します。

TANAKA Green Shield 治具洗浄プロセス説明図
<「TANAKA Green Shield」治具洗浄プロセス>

従来の治具洗浄方法について

真空成膜装置部材の治具洗浄方法は、物理剥離(ブラスト処理)やアルミニウム溶射下地成膜などの方法があります。物理剥離は、研磨剤(洗浄剤)を吹き付けることで付着膜を削り取る洗浄方法であり、低コストなため、現在主流となっている治具洗浄方法です。

この方法では、研磨剤の使用による基材表面へのダメージが基材のライフサイクル低下につながり、加えて、飛散による地金回収ロスの発生がデメリットとなっていました。一方、アルミニウム溶射下地成膜による治具洗浄は、あらかじめ防着板にアルミニウムを溶射法にてコーティングし、薬液でアルミニウムを溶解することで付着膜を剥離する方法です。
この方法では、アルミニウムの非成膜面への付着膜の回収が困難であるほか、アルミニウム成膜費用が高価であることがデメリットとなっています。

従来方法と「TANAKA Green Shield」の違いについて

「TANAKA Green Shield」では、防着板にあらかじめニッケルめっきによる下地加工を行います。 例えば、スパッタリング加工(防着板使用)後、防着板とPGMスパッタ膜との間に施したニッケルめっきコーティングのみ溶解することで、基材を傷つけずにPGMスパッタ膜だけでなく、様々な成分の付着膜を剥離することができます。

この下地加工は、防着板やスパッタ膜との密着性が高く、スパッタ膜が剥がれることによるスパッタ加工不良を防ぐことができ、様々な形状の部品にもめっき加工が可能です。本洗浄法では、基材劣化を防ぐことに加え、アルミニウム成膜に比べ低コストを実現します。
また、洗浄剤の使用量も減らすことができるため、環境にやさしい次世代の治具洗浄法です。

  • 治具洗浄が行われる蒸着・スパッタリング工程説明図
  • 治具洗浄が行われる蒸着・スパッタリング工程説明図

<治具洗浄が行われるスパッタリングや蒸着工程について>

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